女性疾患のうち、特に子宮頸がんの診断と予防を越えて、今は治療領域まで挑戦する企業がある。 2003年、世界で初めてウェブ基盤の子宮頸部拡大撮影検査システムを開発した会社だ。 今年に入ってAI(人工知能)プログラムを活用して子宮頸部拡大撮影映像を分析し、子宮頸部癌の有無を識別する医療機器の開発に成功した。 これにとどまらず、米国の癌征服プロジェクト「キャンサームーンショット(Cancer Moonshot)」のために結成された民官協議体「キャンサーエックス(Cancer X)」の会員としても参加している。 このように世界の医療市場で注目を集めているのは、NTLヘルスケアとNTL医療財団だ。



メインビズ協会(韓国経営革新中小企業協会)はNTLヘルスケアとNTL医療財団を率いるシン·ヒョンス理事長を「今月の革新企業家」に選定した。 メインビズ協会(協会長キム·ミョンジン)は国内中小企業の経営革新とグローバル競争力強化を目的に今年7月から「革新企業家広報プログラム」を新しく導入した。



申賢洙（シン·ヒョンス）理事長（59）は、どのようにして子宮頸がん診断市場で世界的な人物になったのだろうか。 また、国内の産婦人科病院10ヵ所のうち7ヵ所程度がNTLヘルスケアの子宮頸部診断機器を利用するほど競争力を確保することができただろうか。



-AI(人工知能)プログラムを活用した子宮頸がん診断医療機器を開発したと聞きました。 産婦人科病院や患者の立場ではどんな効果があるのでしょうか。



シン理事長: これまでは子宮頸がんの異常を確認するのに24時間以上かかりました。 しかし、独自開発したAIベースの「サービケアAI」を活用すれば、5秒以内に異常有無を確認することができます。 来年からは「オンデバイスAI(On-Device AI)」方式の子宮頸がん診断機器を発売する計画です。 機器自体で情報を処理できるので、インターネット網は必要ありません。 山間部や島でも素早く簡単に子宮頸がんを診断し、遠隔診療が可能になるのです。

-「サービーケアAI」が早く診断をしても、結局重要なのは正確度でしょう。



シン理事長:医学的には精度の代わりに感度と特異度という概念を使います。 今回開発した機器の感度と特異度はすべて90%以上です。 すでに世界的な科学学術誌ネイチャー姉妹誌である「サイエンティフィック·レポート(Scientific Reports)」に論文を掲載しました。 臨床試験の結果、高等級病変に対する敏感度は98%で、特異度は95.5%でした。 驚くべき精度です。



-そのように高い精度を備えた医療機器を開発できた秘訣はありますか。

シン理事長:AIの性能はビッグデータかどうかで判断されます。 「サービケアAI」の性能が優れた理由は、これまで蓄積したデータが多かったためです。 世界中で最も多くのデータを保有しているはずです。 毎年50万人以上が私たちの医療機器で検診を受けていますよね。 20年余りの間に蓄積された映像は700万件に達します。 このサービス経験を人工知能プログラムに盛り込みました。 これが可能だった背景は、2003年に世界で初めてデジタル子宮頸部拡大撮影検査装備を国産化したためです。 アナログ方式の機器はアメリカで一番先に出ましたが、デジタル医療機器は私たちが一番先に作りました。



-デジタル方式の子宮頸部拡大撮影検査装備を世界で初めて作ることができた背景が気になります。

シン理事長:当時、米国エヌティーエル(NTL)本社の助けを受けました。 完成品を作るまで4年ほどかかりました。 当時、韓国のインターネット網が米国より優れていたため、デジタル機器の需要が大きかったです。 また、米国本社は特許関連訴訟戦に巻き込まれ、デジタル機器開発余力がありませんでした。 私たちがアメリカ本社より早くデジタル機器を開発できた背景です。 デジタル子宮頸部拡大撮影検査装備を国産化したため、「医師-医師遠隔検診システム」も作ることができました。 製品名は「テレサビコグラフィ（TeleCervicography）システム」です。 現在、このシステムを活用しているのは、国内の約 1、000 の産婦人科病院です。 女性が子宮の痛みなどで産婦人科病院を訪問すると、医師は基本検査である細胞検査とともにサビケアAIを活用し、この過程で他の大学病院の専門医の所見を諮問されたければ「テレサビコグラフィシステム」を利用すれば良いです。 35の大学病院に所属する50人余りの婦人腫瘍専門医から諮問を受けることができます。 細胞検査と並行して「サービケアAI」と「テレサビコグラフィシステム」を活用すれば診断精度を高めることができます。 このような選別検査を経て異常病変が疑われる場合、組織検査を通じて子宮頸がんかどうかを最終的に診断することになります。



-海外市場でも人気を集めており、何よりも米国がん征服プロジェクトである「キャンサームーンショット(Cancer Moonshot)」の一環として結成された民官協議体「キャンサーエックス(Cancer X)」の一員としても活動すると聞きました。

申理事長:AIシステムの海外輸出は昨年から始まりました。 輸出国は 15 か国に及びます。 今年末までに20カ国に増えるでしょう。 一番先に進出したのはタイで、海外売上が一番多いのはベトナムです。 どうやら医療技術が遅れていて、患者の経済力が低い東南アジア地域で私たちの製品をたくさん探しています。 来年にオンデバイスAI方式の「サービスケアAI」が出てくれば、米国、カナダのような先進国にも輸出の道がさらに拡大するでしょう。 特に遠隔診療の割合が50%に達するカナダに大きな期待をしています。

米国政府が関心を注いでいる「キャンサーエックス」会員として活動できる背景も、私たちの製品が海外市場で認められているためでしょう。 「キャンサーエックス」グループにはジョンソン·エンド·ジョンソン、アストラゼネカ、ジェネテックなどの多国籍製薬会社が含まれています。



-世界的に認められる製品の競争力も重要ですが、キャッシュフローが良くてこそ持続可能な成長ができるはずです。 医療機器の販売以外に他の収益モデルはありますか。

申理事長:いつも悩んでいるところです。 医療機器の販売だけではキャッシュフローをうまく取り込むことが難しいと判断し、「医療プラットフォーム使用購読サービス」というビジネスモデルを構築しました。 AI分析及びデータ保存管理、遠隔依頼サービスを主に提供しています。

-最近、免疫細胞治療専門企業であるイミューニスバイオと手を組んでHPV(ヒトパピローマウイルス)清潔剤を披露しましたが、製品多角化の信号と見れば良いでしょうか。

シン理事長:そうです。 「インナーワイNK」の発売で製品の多角化とともに子宮頸がんの治療領域に一歩近づいているわけです。 また、子宮頸がんの他にも、他の女性疾患に対しても診断と治療を連携したプラットフォーム構築にも関心が高いです。

主な履歴

1965年生まれ/韓国外国語大学英語学科/韓国ヤンセン及び韓国サノフィ勤務/(株)NTLヘルスケア創業(96年)/医療法人NTL医療財団理事長(2012年~現在)

◆ 「今月の革新企業家、シン·ヒョンスNTL医療財団理事長は誰？」

「便利な道の代わりにいつも挑戦を選択しました」シン·ヒョンスNTL医療財団理事長（59）は「行かない道」を選択する覇気溢れる事業家だ。 外国語大学英語学科を卒業した後、飛び込んだのは製薬会社の営業職で、韓国ヤンセンが彼の初めての職場だった。 大学時代、学費と生活費を稼ぐために練炭配達、果物商売、塾講師などをあまねく経験した経験が製薬会社の営業をしながらも大きな力になったという。 営業王として認められ、あちこちから迎え入れの提案が相次いだ。 韓国史ノピーに転職した背景でもあった。

「製薬営業6年目に医療機器ベンチャー創業の提案を受けました。 女性がんの発生率が高い子宮頸がんを画期的に減らせる事業という提案に左右されることなく、創業を決心しました」。 米国のNTLがウィスコンシン医科大学と協業して開発した子宮頸部拡大撮影検査(サービコグラフィー)システムの国内独占代理店を獲得したのが創業をすることになった決定的な契機だった。 NTLヘルスケアは、彼が米国のNTL本社と50:50の合弁で1996年に設立した会社だ。 創業翌年、IMF通貨危機が発生し、難関にぶつかった。 「当時、米国本社の製品を輸入して販売したが、為替レートの高さで到底事業を持続することができませんでした。 それで本社に製品設計図をくれと頼んだんです」NTLヘルスケアに50%の持分を投資したNTL本社は気の毒な事情を無視せずに設計図を渡し、このおかげで1999年アナログ子宮頸部拡大撮影装備を国産化することができた。 危機がチャンスになったわけだ。

米国本社の支援を受け、03年に世界で初めてデジタルシステムの開発に成功し、本格的な復興期を迎えた。 NTL本社の持分も全量確保することができた。 ところが、再び危機が訪れた。 患者情報を医療機関ではなく医療機器会社が取り扱うという理由で告発されたのだ。 「医療法改正の事実を知らずに、従来のやり方で営業していたのです。 子宮頸がんの発病率を下げるのに寄与した功労が認められ、起訴猶予処分を受けました。 その後、医療法人の設立を通じて難関を打開しました」。

彼はNTL医療財団を通じて産婦人科病院に安定的にサービスを提供し、このような努力の結実で最先端のAI基盤子宮頸がん検診システムを開発することができた。